〜論文ベースでわかりやすく解説〜
近年、カメラ1台で姿勢や歩行を解析できる「AI歩行分析(MediaPipe など)」が広がっています。
一方で、大学や研究機関、病院では「Vicon(バイコン)」に代表される反射マーカー式の高精度歩行解析が長年使われてきました。
では、
AI歩行分析は、研究室レベルの歩行解析と比べて本当に使えるのでしょうか?
実際にこの2つを直接比較した論文をもとに、わかりやすく整理します。
研究室レベル歩行解析(Vicon)とは?
Viconは、身体に多数の反射マーカーを貼り、赤外線カメラで三次元的に動きを捉えるシステムです。
特徴は:
- ミリ単位の位置精度
- 関節角度・関節モーメント・床反力まで計測可能
- 医学研究・論文の「基準(ゴールドスタンダード)」
その反面:
- 数百万円〜数千万円規模の設備
- 専門技師が必要
- 設置された研究室でしか測れない
という現実的な制約があります。
AI歩行分析(MediaPipe)とは?
MediaPipe(BlazePose)は、普通の動画から
- 頭
- 肩
- 骨盤
- 膝
- 足
などの位置をAIが自動推定する仕組みです。
特徴:
- カメラ1台でOK
- マーカー不要
- 自宅や施設で撮影可能
- 即時解析
つまり「手軽さ」が最大の強みです。
実際に比べた論文はあるの?
はい、あります。
2023年の研究では、MediaPipeで歩行を解析しながら、同時にViconでも計測して比較しています。
その結果:
● 立脚期・遊脚期・歩行タイミング
踵接地(IC)やつま先離地(TO)などの歩行イベントは、
- 誤差:約20〜40ミリ秒
- 立脚時間や遊脚時間:非常に高い一致度(ICC 0.85〜0.95)
と報告されています。
つまり:
👉 「どちらの足に体重が乗っているか」
👉 「左右の立脚時間の違い」
といった時間的な歩行指標は、AIでも十分実用レベルということが示されています。
ではAI歩行分析はViconの代わりになる?
ここがとても大切なポイントです。
論文の結論は一貫してこうです:
AI歩行分析はViconの代替ではない
しかし、簡易評価・左右差・経時変化を見る用途には非常に有効
つまり:
- Vicon → 精密計測・研究用
- AI歩行分析 → 日常評価・変化の見える化
という役割分担です。
AI歩行分析ラボの特徴
当サービスでは、論文で実証されている
- 立脚期検出
- 左右の時間差
をベースにしながら、
さらに独自に:
- 左立脚期/右立脚期を分けて評価
- 頭・肩・骨盤の左右揺れ
- 膝の内外反角度
- 接地タイプ(踵/フラット/つま先)
といった、
「現場で見てすぐ理解できる指標」
に再構成しています。
研究室では重心やモーメントとして表される情報を、
あえて
- 肩の揺れ
- 骨盤の傾き
など、直感的な形で表示しています。
まとめ
研究論文からわかることは:
✅ AIでも立脚期や左右差は十分評価できる
✅ 側面の傾きや膝の動きも「傾向」は捉えられる
❌ 医療研究レベルの絶対角度や力学解析はViconが必要
AI歩行分析ラボは、
「診断」ではなく
「変化を見える化する」
ことを目的としています。
日常の運動指導、セルフチェックにおいて、
- 左右差
- ふらつき
- 姿勢の癖
- 変化の度合い
をわかりやすく確認できることが最大の価値です。
引用:Hii, C. S. T., Gan, K. B., Zainal, N., & You, H. W. (2023). Automated gait analysis based on a marker-free pose estimation model. Sensors, 23(14), 6489. Retrieved from https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10384445/
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