歩行分析事例2

「歩くとフラフラする…」脳卒中後の歩き方をAIで分析してみたら | AI歩行分析ラボ|爽快倶楽部
CASE REPORT

「歩くとフラフラする…」
脳卒中後の歩き方を動画で分析してみたら、
こんなことがわかりました

AI歩行分析ラボ|爽快倶楽部 2026

こんにちは、爽快倶楽部のAI歩行分析ラボです。今回は、脳卒中(左片麻痺)をお持ちの80代女性の方の歩行を、AIを使って詳しく分析した事例をご紹介します。「なんとなく歩きにくい」「フラフラする」という感覚は、実際には体のどの部分でどんな動きが起きているのでしょうか?数値と一緒に、できるだけわかりやすく解説します。

ご注意:この記事は一般向けの情報提供を目的としています。個別の診断・治療方針については、担当の医師・理学療法士にご相談ください。

まず「片麻痺の歩き」って、どういう状態?

脳卒中(脳梗塞・脳出血など)が起きると、脳からの指令がうまく体に届かなくなり、片側の手足が動かしにくくなります。これを「片麻痺(かたまひ)」といいます。

麻痺がある側の足は力が入りにくく、体を支えることが難しくなります。そのため、無意識のうちに反対側の足や体全体でバランスをとろうとする動きが生まれます。これが「代償動作」と呼ばれるもので、長く続くと疲れやすくなったり、転倒リスクが上がったりします。

今回の分析でわかった4つのポイント

FINDING 01

骨盤が傾いて、体が横にゆれていた

数値 骨盤の傾きのゆれ幅(RMS):全体 4.7度 → 右足が地面についている時だけで 5.8度
健常者(目安)
1〜2°
この方(全体)
4.7°
右立脚時のみ
5.8°

骨盤というのは、腰のあたりの大きな骨です。歩くとき、本来は骨盤をほぼ水平に保ちながら足を前に出します。ところがこの方の場合、右足で体を支えているときに骨盤が左側へ傾く動きが目立ちました。

「4.7度」「5.8度」と聞いてもピンとこないかもしれませんが、健常な若い人の骨盤の傾きのゆれは1〜2度程度といわれています。つまり、約3〜4倍のゆれが生じているわけです。左の麻痺によって、足を振り出すときに骨盤を支える力(お尻の筋肉の力)が弱くなっているためです。

FINDING 02

体全体が「くの字」に傾いていた

数値 肩の傾きのゆれ幅(RMS):全体 4.6度 → 右足が地面についている時だけで 5.7度

骨盤だけでなく、肩(上半身)も同じように揺れていました。しかも骨盤と肩の揺れ方を詳しく見ると、骨盤は左に傾く一方で、肩は相対的に右側に残るという「くの字」のようなねじれが起きていることがわかりました。

これは体が無意識に「骨盤が傾いても上半身でバランスをとろう」としている動きです。一見うまく補っているようですが、この代償動作が続くと腰や背中に余計な負担がかかります。

FINDING 03

麻痺していない側の膝が外側に開いていた

数値 右膝(麻痺していない側)の外反角度:平均 5.3度、最大 15度近く  / 左膝(麻痺側):平均 2.1度

「膝の外反(がいはん)」とは、膝が外側に向かって開く状態のことです。「X脚」に近いイメージです。

麻痺していない右足には、麻痺側の足が十分に体を支えられない分、本来の2倍近い負担がかかっています。今回のデータでは、歩行の後半になるほどこの外反が大きくなる傾向がみられました(疲れてくると崩れやすくなるということです)。長期的にはこの健側の膝が傷んでしまう(変形性膝関節症など)リスクにつながるため、注意が必要です。

FINDING 04

頭がよく揺れていた → 転倒リスクと関係

数値 頭部の左右揺れ幅(RMS):0.34(正規化値)。右足立脚時に特に大きい(0.39

歩くとき、頭は本来できるだけ安定しているのが理想です。目や耳(前庭感覚)で「今どこにいるか」を感じながらバランスをとっているからです。

この方では右足で体を支えているときに頭が大きく左右に動いていました。頭が揺れると、脳への情報が乱れてバランスを保つのが難しくなります。この方は「転倒恐怖感あり・月1回程度のヒヤリハット経験あり」とのことで、このデータはその不安感と一致しています

歩き方の「全体像」をひと言で言うと

「右足を地面につけているときに、体全体が大きく左に傾き、頭も揺れやすい。そして健側(右)の膝と体全体への負担が大きくなっている」状態です。麻痺のある左足を守ろうとして、右足と体幹が頑張りすぎている——そんなイメージです。

では、どんなリハビリが助けになるの?

この分析結果をもとに、理学療法士が取り組む主なアプローチを簡単にご紹介します。

お尻の筋肉(中殿筋)を鍛える

骨盤の傾きを抑えるために最も大切な筋肉です。横向きに寝て足を持ち上げる練習や、片足立ちでの骨盤の水平保持など、地味ながら効果的なトレーニングです。

鏡を使って「まっすぐ」を体に覚えさせる

自分の歩き方を視覚で確認しながら、骨盤をできるだけ水平に保つ練習をします。「感覚」だけに頼ると麻痺側は気づきにくいため、目で見てフィードバックすることが重要です。

麻痺のある足に体重を乗せる練習

「麻痺側の足を信頼して体重をかける」経験を少しずつ積み重ねます。体重計や圧力センサーを使いながら、左右均等に近づける練習です。

頭を安定させた歩行練習

視線を一点に固定しながら歩く、頭を動かさずにリズムよく歩くなど、前庭系を鍛えるトレーニングも転倒予防に効果的です。

AI歩行分析でできること

今回ご紹介したように、AI歩行分析では普段の動画から「骨盤の傾き」「肩のゆれ」「膝のアライメント」「頭の揺れ」などを数値化できます。

「なんとなく歩きにくい」を、数字で見える化する。

これにより、リハビリの優先順位が明確になり、変化の記録もしやすくなります。「先月と今月で骨盤の傾きが2度改善した」といった形で、努力が数字に現れる喜びもあります。

歩き方が気になる方へ

ご自身やご家族の歩き方が気になる方、運動の効果を見える化したい方は、ぜひAI歩行分析ラボにご相談ください。

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本記事の分析は後方撮影の前額面動画をもとにしており、三次元的な重心位置や床反力の直接計測ではありません。あくまでリハビリの参考情報としてご活用ください。掲載している事例は個人が特定されないよう配慮しています。
兵庫県西宮市|通所介護・リハビリ特化型デイサービス

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