歩行分析事例3

【歩行分析レポート】80代男性・脊柱管狭窄症+左人工膝関節 | AI歩行分析ラボ
Case Report — Gait Analysis

骨盤の揺れが大きく、転倒リスクに注意が必要な歩き方
脊柱管狭窄症+左人工膝関節術後の80代男性

AI歩行分析ラボが前面カメラ映像から歩行データを解析した事例レポートです

年齢:80代男性
疾患:脊柱管狭窄症・間欠性跛行
既往:左人工膝関節置換術
撮影:前面・後方カメラ

今回は、脊柱管狭窄症による間欠性跛行(歩くと足がしびれ・痛みが出て歩けなくなる症状)と、左膝の人工関節置換術の既往を持つ80代男性の歩行を、AI歩行分析ラボで解析しました。

実際の数値データをもとに、どんな歩き方のクセがあるのか、なぜそうなるのか、そしてどんな運動が効果的かをわかりやすくお伝えします。

1骨盤の左右の揺れ(最重要指標)

骨盤傾斜RMS(揺れの大きさ)
⚠ 要注意
7.5
°(RMS値)

健常高齢者の目安:約3〜4°

歩くたびに骨盤が左右に約7.5°揺れていました。健常な高齢者の約2倍の揺れです。

これは「トレンデレンブルグ歩行」と呼ばれる状態に近く、お尻の横の筋肉(中殿筋)が弱くなっているサインです。脊柱管狭窄症による腰部の不安定さ、人工膝関節術後の筋力低下、そして痛みを避けようとする代償動作が複合して起きていると考えられます。

2肩の傾き

肩の左右傾斜(平均値)
⚠ 要注意
5.8
°(左肩が常に下がる)

歩行中を通じて、左肩が約5.8°下がった姿勢が続いていました。

これは「右側(術を受けていない側)に重心を逃がす」という体の自然な代償反応です。痛みや不安定感を無意識に回避しようとする際に起こります。

3ステップ幅の左右差と安定性

ステップ幅のばらつき(CV値)
⚠ 右立脚で不安定
立脚(支えている側) 平均ステップ幅 ばらつき(CV)
左足で支えているとき 0.498 10.4%(安定)
右足で支えているとき 0.457 26.1%(不安定)

術側である左足で支えているときは比較的安定しているのに対し、右足で支えているときはステップ幅のばらつきが大きく(26.1%)、姿勢が毎歩乱れやすい状態です。転倒リスクと関連する重要な所見です。

4膝のアライメント(内外方向の傾き)

膝外反・内反角度
⚠ 左膝にO脚傾向
平均角度 最大値 判定
左膝(術側) 2.7° 14.6° 軽度O脚方向
右膝(非術側) 0.2° 14.8° ほぼ中立

左人工膝関節の術側に、軽度O脚方向(内反方向)への傾きがみられます。術後のアライメント変化や中殿筋の弱化が影響している可能性があります。

5立脚時間の左右差

立脚時間の左右差(非対称性)
✓ 良好
4.1
%(差は小さい)

左右の足に体重をかけている時間がほぼ均等でした(非対称性わずか4.1%)。人工膝関節術後としては良好な所見で、両足に体重を乗せる意識ができていると考えられます。


6総合まとめ

評価項目 数値 評価 コメント
骨盤の揺れ RMS 7.5° 大きい お尻の筋力低下が主因
肩の傾き 左下がり 5.8° 要注意 右側への重心逃げの代償
ステップ幅の安定性 右立脚 CV 26% 不安定 転倒リスクに直結
左膝アライメント 平均 2.7°内反 軽度O脚 術後変化・筋力の影響
立脚時間の左右差 4.1% 良好 荷重は比較的均等

7おすすめの運動プログラム

分析結果をもとに、この方に特におすすめしたい運動を5つ厳選しました。いずれも自宅や施設でできるものです。

01
中殿筋トレーニング
(横向き寝の足上げ)

🎯 骨盤揺れの軽減・転倒予防に最優先

  • 横向きに寝て、上の脚をゆっくり30〜40cm上げる
  • 5秒キープしてゆっくり戻す
  • 左右各10回 × 2セット
  • 左膝は軽く曲げた状態で行う(負担軽減)
02
壁スクワット(浅め)
(下肢筋力の左右バランス)

🎯 下肢全体の筋力強化

  • 壁に背中をつけて立つ
  • 膝を曲げる角度は20〜30°程度(浅め)
  • 5秒キープ × 10回 × 2セット
  • 椅子を前に置いて安全を確保する
  • 間欠性跛行が出ない範囲で行う
03
横ステップ練習
(ステップ幅の安定化)

🎯 右立脚時の安定性向上・転倒予防

  • 平行棒や手すりをしっかり持つ
  • 横へゆっくりと踏み出し、戻す
  • 左右各10歩 × 2セット
  • 「ゆっくり・確実に」を最優先に
04
鏡前での姿勢意識歩行
(代償パターンの改善)

🎯 骨盤の水平保持・体幹偏位の修正

  • 鏡または窓ガラスの前に立つ
  • 「骨盤を水平に保つ」ことを意識しながら歩く
  • 1回あたり10m程度で十分
  • 理学療法士と一緒に行うと効果的
05
膝抱え体操
(脊柱管狭窄症への対応)

🎯 腰椎の圧迫を緩和・間欠性跛行の改善補助

  • 仰向けに寝て、両膝を胸に引き寄せる
  • 20秒キープ × 3回を1セットとして1日2セット
  • 腰椎を丸める方向に動かすことで神経圧迫が緩和される
  • 痛みがある場合は無理に深くしない

⚠ 運動時の注意事項

  • 間欠性跛行の症状が出たらすぐに休憩してください(前かがみの姿勢で休むと楽になります)
  • 膝・腰の痛みが増す場合は運動を中止し、担当のセラピストに相談してください
  • 転倒リスクが高いため、すべての運動は手すりや安定した支持物のそばで行ってください
  • 息を止めず、ゆっくりとした呼吸を意識しながら行ってください

AI歩行分析ラボについて

爽快倶楽部では、スマートフォンで撮影した歩行動画をAIが解析し、骨盤・肩・膝の動きを数値化してご報告します。運動の効果確認や、運動プログラムの立案に活用いただけます。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。

※ 本レポートはAI歩行分析システムによる参考情報です。床反力・足底圧・三次元重心位置を直接計測したものではありません。最終的な評価・運動処方は、担当の理学療法士・医師による直接評価と合わせてご活用ください。本レポートの内容をもとに生じた不利益について、弊社は責任を負いかねます。

爽快倶楽部 通所介護(デイサービス) | AI歩行分析ラボ

株式会社ライフサポートテクノロジー  |  兵庫県西宮市

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です